第8話――焼いた側の論理と、焼かれた側の怒り
黄泉のツガイの第8話は、前話のクリフハンガーから一転、影森一族の屋敷での朝食という“会話劇”が中心となった。村を壊滅させた側である影森の当主は、ユルに対し「あの村は双子を生み出し世界を混沌に陥れる存在だから滅ぼした」という理屈を語り、自陣営へ加わるよう誘う。だがユルは即座に断る。育った村を皆殺しにした相手と、そう簡単に手は組めない――その筋の通し方に、海外の視聴者は喝采を送った。
この回のもう一つの核は、双子の別れだ。アサは「両親はあなたを置いていきたかったわけじゃない」と告げ、結界の外へ飛び出してユルを抱きしめる。幼い頃、牢の格子の隙間から兄の背中に触れていたアサの仕草が重なり、ユルはその手の感触で“これが本物のアサだ”と確信して涙する。海外掲示板でも「アクションゼロの回なのに5分に感じる」「これこそ荒川作品」と、静かな回への評価が並んだ。
善悪が一つに定まらない――『鋼の錬金術師』の作者が描く“グレーの群像”
黄泉のツガイの原作者は、『鋼の錬金術師』で知られる荒川弘である。海外ファンが本作を語るとき必ず引き合いに出すのが、この前作との比較だ。『鋼の錬金術師』が、敵役にすら背景と論理を与え、安易な“純粋な悪”を置かなかったように、黄泉のツガイでも東村(ひがしむら)と影森、双方に過激派と穏健派が存在し、誰が真の黒幕なのかが意図的にぼかされている。第8話で当主が語った「双子を生み続ける村を根絶やしにする」という動機が“最も筋が通っている”と評されたのも、視聴者がこの“どちらも一面では正しい”構図を楽しんでいるからだ。
加えて海外で人気を集めているのが、兄妹の絆そのものである。10年離れていてもなお揺るがないアサのユルへの想いは、前作のエドとアル(エルリック兄弟)を彷彿とさせると語られる。一方でアサの“ブラコン”的な過剰さには賛否もあり、「兄に憧れるだけのキャラにしてほしくない」という声と、「兄を前にしても自分の意見をぶつける芯の強さがいい」という声が拮抗している。深夜帯で2クール(全24話)放送される本作にとって、こうした“溜め”の時間こそが物語の厚みを生んでいる。
以下、第8話に寄せられた海外の反応を訳して紹介する。
海外の反応 (23件)
集合写真で誰よりも真剣な顔を作ろうとして、結果誰よりも間抜けに写る――そんな芸当ができるのはヒダリだけ。 あと、双子が別れる前にアサがちゃんとハグできて本当に良かった。
>>1 次は、ユルのほうからハグを返してほしいな。背中に置かれた手の感触で“この子は本物のアサだ”と気づく描写、めちゃくちゃ尊かった。
>>1 ユルの「何だその魔法は」って顔、ヒダリのO_O、便秘みたいな顔のミギ……誰が一番のチャンピオンか決めがたい。
>>2 左にいるの、完全に五条悟だわ。
影森、ガールズバーを経営の一つに持つあたり、もう完全にヤクザ一家だな。長男がもっと真っ当な稼ぎ方にこだわりたがるのも納得。あの兄なら、いいツガイを持ってて当然だわ。
>>5 対して次男は、見るからに“ヤバいほうの No”って感じ。オールバック+常に閉じた目=一番危ない奴の典型。
>>6 もしこいつが実は善玉で、逆に長男が黒幕でした、ってオチだったら面白いな。
あの最後の別れのハグ、そして「わざと置いていかれたわけじゃない」と知った時のユルの表情、本当に胸に来た。あと、もう影森一族の内部にも亀裂が見え始めてるね。
>>8 正直この回はちょっと泣いた。特にアサが「両親はあなたを置いていきたくなかった」って言うとこ。ユルが“この子はアサだ”と確信する場面でもまたウルッときた。あとユルが「俺を狙ってこい」と言った時に笑うヒダリとミギ、可愛すぎる。
>>8 この作品が終わったら絶対寂しくなるし、次の season まで何年も待つことになるんだよな……。アサが「あなたは選ばれて置いていかれたわけじゃない」と告げて結界を飛び出し抱きしめる場面、心が持っていかれた。なんて切ない状況なんだ。
アサ、村の牢から屋敷へ“住み替えた”だけって感じだよな。隠れて暮らさなきゃいけない理由は分かるけど、檻を別の檻に乗り換えただけなら、それは大した人生とは言えない。
>>11 どっちも檻なのは間違いない。けど影森には“温かい家族と自由”という幻想をアサに与えてやれた点は評価しないとな。東村の冷たい牢の中では、彼女が一度も感じられなかったものだ。
>>11 そもそも、なぜ村は彼女をあそこまでひどく扱ったのか、という疑問が残る。
>>13 兄より先に彼女が能力を覚醒させるのを防ぎたかったんだと思う。覚醒したら結界をぶち破れちゃう、とかそういう理由じゃないかな。
くそっ、このアニメ、毎回“体感5分シリーズ”じゃないか。これを取り締まる法律はないのか!?
>>15 アクションがゼロの回ですら5分に感じる――それが良作の証拠ってやつだよ。
ユルとアサの兄妹関係こそ、この作品で一番好きなところだ。10年も離れ離れだったのに、二人の絆は完全に保たれてるように見える。
>>17 荒川は兄妹の機微を描くのが本当にうまい。前作のエドとアル(エルリック兄弟)然り。ただ描き方は違っていて、エドとアルは大抵ずっと一緒だったのに対し、こっちは双子がそれぞれ別の道を行くんだよな。
“白と黒”のツガイ、能力がめちゃくちゃカッコいい。長兄が漫画家だってことで余計にぶっ壊れ性能になってるのが好き。もしこの人が家業(裏稼業)に少しでも興味を持ってたら、本当に恐ろしい存在になってたな。
>>19 もしあの能力が“想像したものを何でも描き出せる”なら、絵描きであることはあのツガイとの神レベルの相性を意味する。こいつが悪人だったり血に飢えてたりしたら、相当ヤバかった。
ユル、いまだに“漫画家”が何なのか分かってない。笑 そしてアサのブラコンは相変わらず。いつか二人で笑顔の写真が撮れるといいな。今回のあの写真、ユルの写り全然良くなかったし。最後の二人のやりとりは本当に良かった。
「ガールズバー“愛と誠”」――ジンの組のツガイの名前、アイとマコトは、それぞれ“愛”と“誠”を意味してるんだよな。
結局のところ、この騒動は全部、どこかにいる一人の漫画家が引き起こしてるんだよな。
翻訳元■